既存ジャーナリズムは「良い市民」の味方。そして「良い」と「悪い」は自分たちで決める

  • 2008/12/30(火) 16:23:44

ITmediaより抜粋


 「良い表現の自由」と「悪い表現の自由」があるようなんだよね。「良い」「悪い」を決める根拠はなんなんだろうと思ってた。

 ははあ。今年問題になった「青少年ネット規制法」には、既存ジャーナリズムは最終的に反対にまわったな。

 既存ジャーナリズムにとって、表現の自由とは「自分たちが食えるか食えなくなるか問題」であって、表現の自由の絶対的守護者ではないようなのね。ある新聞社は、こうした「悪い表現の自由」は規制すべき、ということを言ってたでしょ。逆に言えば、彼らの報道活動は「良い表現の自由」として守られるべきものだと素朴に信じているんだろうか。

 新聞記者出身でネットメディアをやってる個人的な立場として、今年は新聞社に対して抱いていたものがいろいろと崩れた1年でもあった。Yahoo!JAPANにはITmediaを含め、各社がニュース記事を提供してるでしょ。で、状況がはっきりしない殺人事件があった。それについてのある新聞社の記事をYahoo!で読んで驚いた。「関連記事」に推理ゲームソフトの記事が入ってるんだよ。

 はー。

 おれ新聞記者出身なんだけどさ、新人時代の経験を思い出すに、もしこんなことしたら「人が本当に死んでるんだぞ! なんだと思ってるんだ!」って支局長にぶっ飛ばされたと思う。……関連記事にそのリンクを入れておけばYahoo!からの誘導効果でページビューが伸びるのは分かるんだけど、ちょっとこの感覚は理解できない。

 ある新聞社の英語サイトが「hentai」メタタグを埋め込んでいたとかなんとか、一連の問題があったよね。

 うん。この際だから悪口言っておくとさ、この時のこの社の広報担当の態度が悪かったのね。大手マスコミの広報の態度があまり良くないのは実感としてはあるんだけどさ。大手マスコミさんってさ、報道でいつも他人を突き上げてることと、会社として実際にやってることの乖離がね、ちょっとね。外に対しての窓口である広報が悪印象をまき散らしてると思う。

 そういや「ネットメディアの取材は拒否」だっけ。

 そうそう。たまたま態度が悪いおじさんがいただけなのかもしれないし、一般化するのは危険かもしれないが……しかし既存ジャーナリズムの方法論からすると、この事実をもって「大手マスコミの閉鎖的な体質が浮き彫りになった」と言っても特に問題はないんだろうと思う。うん。

 ふーん。

 ……そういやさっきから挙げてきた話って、全部同じ新聞社のことなのね……

 同人者としては、表現の自由を守る、という点で、既存ジャーナリズムは頼りにならないんじゃないか、とは思うようになった。彼らを味方に付けるには、彼らのメシの種が危機に陥っている、というような土俵に持ち込まなければならないっぽいのね。

 かもしれない。しかしそうは持ち込めないものもある。

 これからは否応なくネットで生きていく時間が増えていく。ネットで人が何かをするということは、長短にかかわらず文章を書き込んだり、写真やイラストを公開したり……という形で、つまり「表現」という形で現れるよね。ネットで生きるということにとって、表現は本質だと思う。表現の自由の担い手が増えていくということ──ネットの表現のネガティブな側面を強調する見方に対し、俺たちが期待できるオプティミスティックな未来の1つはこれだと思う。

 しかしジャーナリズムの「正義」判断に、彼らの「食いぶち依存性」があるとなると、表現の自由の担い手が増えるということは……

 脅威になるのかもしれんね。それがここ数年、新聞を中心としたジャーナリズムの「ネットフォビア」の原因の1つだったんじゃないの。彼らがそれを意識できてたかどうかは分からないけど。

 新聞にとっては「良い市民」と「悪い市民」がいるようで、2chを始めとするネットは当然「悪い市民」。「悪い市民」は攻撃してもよく、これを叩くために体制側とつるんで規制すら訴えるという。正直、元新聞記者としては驚くべき光景をここ数年見てきた。既存ジャーナリズムは市民の味方じゃない、「良い市民」の味方なんだな。そして「良い」と「悪い」は自分たちで決めると。


ITmedia 2008年12月29日
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0812/29/news024_2.html

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